2009.05.02
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いつも拍手してくださる皆さま、ありがとうございます。
久しぶりの「ぬら孫」です。
今回は親子の会話になります。
本当はずっと前に書いてたものなんですが、ちょうど季節ですし、アップしてみました。
カップリングではありません。単純に鯉伴さんのセリフを書きたかっただけの、自己満足な代物です。
OKな方はそのままお進みください。
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【蛍の揺らめき】
夕飯には少し遅い時間帯。密集した住宅と川に挟まれた細い道に外灯などなく、そろそろ道が闇に隠れてしまう頃だ。
鯉伴はふらりと家までの道を歩いていた。
「あ、お父さんだっ!!」
幼い子供が、遠くから鯉伴を呼び、飛びついてくる。
軽い衝撃を受け止め、鯉伴は我が子を抱き上げた。
「よぉ、リクオ。元気にしてたかい?」
「はいっ!!」
いい子だ、と頭を撫でてやる。きゃっきゃとリクオが子供らしい、高い声を上げて笑った。
我ながら親馬鹿だと思うが、他のどの子よりもリクオが一番可愛い。
「…一人か?」
「はい!お母さんが、そろそろ帰ってくるって」
張り切って答えるリクオだが、鯉伴は渋い顔になる。
「こんな遅くに、一人で家を出たら危ねぇだろ?」
「ごめんなさい」
しゅんとしたリクオを腕から降ろし、その栗色の頭をくしゃりと撫ぜる。
「だけど、迎えはありがてぇな。一緒に帰るか」
「はい!」
差し出した手を小さな手が掴む。柔らかくて、壊れそうで、愛しくて。
傷つけないように慎重に、鯉伴はリクオの手を引いた。
「お父さん、あれは何?」
手を繋ぐのとは反対の指で、リクオは川を指す。
周囲は暗く、はっきりとは見えない。川の流れる音が響いていた。
その川の周辺に、小さな光が舞っている。
「ああ、蛍だな」
「蛍?」
「そう。夏の間、ああやって光る虫だ」
珍しいな、と鯉伴は呟いた。
都心部ほどの高い建物こそないが、昔と比べれば田畑は減り、川の水は濁っている。
蛍など、ここしばらく見ていない。
「リクオ、知ってるか?蛍は人が魂で帰ってきた姿なんだと」
「ふーん…」
蛍の淡い光は、鯉伴に女の背中を思い出させる。
若菜の栗色の短い髪ではない。膝まで届く黒く長い髪の女。
「お父さん?」
ふいに、握っていた手の力が増す。
リクオが不思議そうに鯉伴を見上げていた。
「誰か探してるの?」
「あ?」
「なんか、そんな気がした」
鯉伴は我が子の言葉に苦笑した。
別に探していたわけではない。ただ、蛍を見るとかつての妻を思い出してしまうのだ。
「探してるってわけじゃねぇけどな。生まれ変わって、幸せになっていればいいと思うんだよ」
「それって、大切な人なの?」
「そうだな。リクオの、もう一人のお母さんだ」
幼いリクオには、母親が二人という言葉が理解できなかった。
「僕のお母さんは一人だよ」
「そうだな。あー…、なんて言ったらいいんだろうな。まぁ、もう一人の家族だ」
「女の人?僕より年上?」
「ああ」
リクオの目が輝いた。若菜と同じ色の目。
「それなら、僕のお姉ちゃんだ!!」
保育園で家族というものを習った。
年上の女の人には、お母さんとお姉さん、おばあさんがいるということ。
おばあちゃんはもう死んじゃったけど、お母さんは今いて。おねぇちゃんだけがいない。
だから、鯉伴のいう人物はリクオのお姉さんになる。
幼い子供の理解ではそれが精一杯だった。
「まぁ、それでもあいつは喜ぶだろうよ」
鯉伴は苦笑する。
子供が好きだった妻だ。その子供ができなくて、己を責めて姿を消してしまったけれど。
「リクオ」
「はい!」
明るい顔で笑うリクオを見れば、かつての妻は優しく笑うに違いない。
「もし、そのお姉さんに会うことがあったら、一緒に遊んでやってくれな」
「はい!」
愛息子に微笑みつつ、鯉伴は心の中で話しかける。
可愛い息子だろう?
なぁ、山吹…。
「おねえちゃん、だぁれ?」
三人の悲しい邂逅はこの後のことになる。
END
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こんにちは、しもつきです。
最近ぬら孫にハマり、リクオ受(特に昼若を愛でています)なSSを書き散らしています。
たまに、サイトでUPしたREBORNとかBLEACHの後日談的な話が出現しますv
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