2009.05.02
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「寝てる相手に告白する」っていうシチュエーションが、しもつきは好きらしい…。
だいたいどのジャンルでもこの手の話が浮かんでしまって、青エクでは避けていたんですが、誘惑に負けて書いてしまいました。不完全燃焼だけど。
せっかく書いたので、アップしてみます!
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兄に向ける感情じゃないことは知っていた。
【愛を囁く】
「お前たちの部屋を分けようと思うんだが」
藤本神父のその言葉に、雪男は首を傾げた。
目が合えば、すぐに視線を逸らされる。
「神父さん?」
「あー…なんだ?」
話しかけないでくれと言いたげな空気。
はっきりした性格の義父には珍しい態度だった。
「どうして部屋を分けるのか聞いてもいいですか?」
逸らされた視線が、恐る恐る雪男を見て、すぐにまた他所を向く。
燐が喧嘩の理由をごまかす時と同じように、気まずそうにしている。
雪男は気付いた。
藤本神父は燐から雪男を引き離したいのだと。
「兄と一緒ではいけませんか?」
兄に向ける感情を、雪男は自身で正しいとは思っていない。
兄弟に恋愛感情を抱くなんて、どうかしていると自分でも思う。
それでも、何度否定しても、想いは消えてくれなかった。
燐の側にいるために、触れたくなる衝動を、欲望を、いつも我慢している。
最近はその我慢もだんだん限界に近づいているけれど。
「…そろそろお前らも兄弟離れをする頃だろ」
間違いなく、藤本神父は雪男の感情に気付いている。
雪男は穏やかな表情の裏で、冷えた頭を働かせた。
どこに気付かれた?
自覚はある。周囲には異常なほどに仲のいい兄弟だと映っていただろう。
弊害がでるとは思っていなかったから、隠してはいなかった。
兄を見る目も。触れようとする手も。嬉しさを抑えられない表情も。
「神父さん」
「な、なんだ?」
にこりと雪男は笑った。
弊害がでるなら、今後は気をつけよう。
「そうですね。僕も兄さん離れしたいですから」
誰に気付かれても、構わない。
ただ、兄だけには気付かれてはいけない。
ほっと息を吐く藤本神父に、雪男はさらに口元を引き上げた。
すぅと青い目が温度をなくしていくことに、藤本神父は気付かなかった。
「兄さん?」
薄暗い部屋。照明は落ちていたが、部屋の壁の白さで、室内は薄く物の位置が見える。
雪男は部屋の端のベッドに視線を向ける。ふくらんだ布団に近づいた。
「兄さん」
ベッドに腰かけ、上から覗き込む。
顔の半分まで布団をかぶった燐が、熟睡していた。
そっと髪に触れる。燐はぴくりとも動かない。
普段は鋭い目つきも今は隠れていて、その寝顔は幼い。
可愛い、と思う。
「兄さん、起きないの?」
困ったような声を出しながら、顔には微笑を浮かべていた。
「今日ね、テストが帰ってきたんだけど、満点だったんだよ」
髪をやさしく梳きながら、雪男は言う。
「僕ね、約束どおりにお医者さんになるよ」
兄さんは何になりたいのかな?
やさしく甘く。まるで舌に広がる蜂蜜のように、耳に響く。
それは、少年特有の高い声でいて、ひどく大人びた声だった。
「兄さんと約束したもんね」
大きくなって、偉いお医者さんになって。
燐を守ることができるほどに強くなったら。
そしたら。
「全部が解決したら、迎えに行くよ」
前髪を払い、むき出しになった額に口付ける。
軽く触れた唇にはまったく気付かずに、燐は眠り続ける。
それに安堵する気持ちと、残念な気持ちがあって。
「じゃあ、おやすみ、兄さん」
燐に触れる手を名残惜しく思い、髪が最後の一本になるまでゆっくりと手を引く。
部屋を出る際に閉める扉も極力音をたてずにゆっくりと。
明日、雪男は修道院を出る。
今までのように燐に触れることはできない。
それはとても残念なことだけれど、雪男は決めたのだ。
何からも守ってみせる。
そのために、祓魔師になり、医者になると決めた。
自分だけが兄を守れることが誇らしくて。
頑張れと言ってくれた兄が嬉しくて。
「好きだよ、兄さん」
それは惨劇の夜の前の出来事。
まだ幸せな夢に浸っていた兄弟の、甘い夢。
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こんにちは、しもつきです。
最近ぬら孫にハマり、リクオ受(特に昼若を愛でています)なSSを書き散らしています。
たまに、サイトでUPしたREBORNとかBLEACHの後日談的な話が出現しますv
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