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 久々の更新です。
 内容は年末に書いたもので、読み返すと恥ずかしいのですが、最近SSをサボってる自分に渇入れです!

 鳥籠ネタはいまさらですが、甘い雰囲気で終わるように目指してみましたv
 楽しんでいただけると嬉しいです。



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「花ちゃん、これあげるよ」

 そう言って渡されたのは、瑠璃色の羽が綺麗な小鳥。

 

 

 

 


【とりかご】

 

 

 

 


 何も知らない子供のように無垢な目で見上げて首を傾げる。
 思わず手を伸ばしたくなる仕草をする小さな鳥に、花の顔に笑みが浮かんだ。

「可愛いなぁ」

 花は籠の隙間から指を入れ、小鳥の頭を撫でる。
 小鳥は花の指に擦り寄るかのように頭を押し付けてきた。

「花ちゃん」

 扉の外でかけられた声に、花は鳥籠から指を抜いて「どうぞ」と返す。
 扉はすぐに開き、赤茶色の頭が覗いた。

「仕事は終わったんですか、孟徳さん」
「ううん。今は休憩中」

 花はくすりと笑うと、孟徳を机に促した。

「今、お茶を入れます」
「ありがとう」

 膝に乗せた鳥籠を寝台に置き、花は立ち上がる。
 孟徳の目が鳥籠を追った。小鳥の赤褐色の目と合う。

 この瑠璃色の羽をした小鳥を、以前孟徳は花に送った。
 それを花が大事にしてくれるのは嬉しい。しかし、小鳥を閉じ込めた籠を見るのは心中が複雑だった。

「…花ちゃんはさ、籠の中の鳥を見て可哀想だと思う?逃がしてあげたい?」
「…そうですね。可哀想というか…自由にしてあげたいとは思いますよ」

 花の言葉に、孟徳の表情が曇る。
 複雑な、胸を突かれる言葉だった。

「でも、何も知らない土地で一人にするよりは、こうして護ってあげたいと思います」

 籠の中の鳥を優しい目で見つめる花に、孟徳は驚いた顔をする。

「孟徳さん?」
「いや…、君は自由にしてあげたいって言うかと思ったよ」

 俺は、あんなに君を怖がらせたから。
 口には出さなかったが、花には孟徳の心の声が聞こえるようだった。

「私もこの世界に来たときは一人でしたから。玄徳さんに拾われて、孟徳さんと出会わなければ、今頃泣いていたと思います」
「…君は今幸せなの?」

 にこりと花は笑った。

「はい。私が笑っていられるのは孟徳さんのおかげです」

 花は無垢な鳥でも、何も知らない子供でもない。
 それでも、誰かに庇護してもらわなければ、花はこの世界で生きていけなかった。
 孟徳の側に残らなかった。

「孟徳さん。私は籠の鳥じゃないですよ」
「花ちゃん…」
「自分で決めたんです。孟徳さんの側で、あなたの力になりたいって」

 だって、孟徳さん、すぐに無茶をしちゃうから。
 すぐに悪役になろうとしちゃうから。

 茶化して笑う花に胸が詰まり、孟徳はその手を引き寄せて抱き込んだ。

「…君は、簡単に俺を救い上げるね」

 花は孟徳の腕の中で笑った。

「先に私を救ってくれたのは孟徳さんですよ」

 孟徳は虚をつかれた顔をして、それから花の額に己のそれを合わせた。

「…そっか」

 くすりと互いに笑う。

「ずっと一緒にいよう、花ちゃん」
「はい」

 どれくらいの時間が経ったのか。長い時間、花は孟徳の腕の中でじっとしていた。
 ふいに、孟徳がぽつりと呟いた。

「逃げたりしたら、羽を切り落としちゃうよ」
「鳥の風切り羽ですか?」

 以前、花に言った言葉だ。その時の花はとても怯えた目をしていた。

「そう」

 花を甘やかしたいという気持ちと絶対に手放せない気持ちと、どちらも確かに存在するのに、孟徳にはいまだにどうしたらいいかわからないことがある。
 花は孟徳の顔を見上げた。そこに、怯えの色はない。

「知ってますか?風切り羽はまた生えてくるんですよ」

 怯えでも、強気でもない。子供のような表情で言う花に、孟徳は言葉に詰まる。

「…何度でも切るよ」
「孟徳さんは、もうできません」

 信じきった目をする花に、孟徳は目を見開く。

「孟徳さんがそういうことをする時は、相手を信じられなくなったときです。それは、私が孟徳さんを裏切ったときなんです」

 孟徳は静かに花の話を聞いている。

「私はもう孟徳さんを裏切らないって決めました。だから、そんなことをする必要はないんです」

 ぎゅっと、孟徳の腕に力が入る。
 その力は強くて、花は声を上げそうになった。

「っ――、孟徳さんが私を必要としてくれている限りは側にいます」

 花はまっすぐに孟徳の目を見つめた。
 大人の男性なのに、親に縋る子供のような目をしている。
 だから、離れられないのだ。
 時々孟徳は花をとても不安な目で見る。

「私は、孟徳さんが大好きですから」

 不安に揺れる目が驚きに変わり、顔全体に笑みが広がる。

(ああ、やっぱりこの顔が好きだな)

 初めて見たときは驚いた。
 こんなに権力を持った人なのに。
 こんなにも力が強い男の人なのに。
 本当に嬉しいときは子供のように笑うのだ。

「本当に好きだよ、花ちゃん」
「はい」

 花は肩に埋められた赤みがかった頭をぎゅっと抱きしめた。

 

 

 


 鳥籠の中の鳥だって、大好きな主人を護りたいって思ってる。
 




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