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 東北の方は余震が続きますね。
 4月に入ってだいぶん暖かくなったとはいえ、今も不自由な生活をされていると思うと胸が痛みます。




 しもつきの周りでは桜が満開です。
 桜ネタを書こうと決めた頃に、友達が満開の公園を案内してくれました
 帰り道に浮かんだSSですが、よかったら、読んでやってくださいv

 ちなみに丞相と師匠で悩みましたが、今回のお相手は師匠です♪






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【桜桃】





 淡い色の花が、頭上に広がっている。
 薄い紅色の花弁がひらりひらりと舞う。
 花弁の向こう側、木の下に佇む人物を認めて、孔明は足を止めた。

 花と同じ色の上着を羽織った小さな背中。
 陽に透けた髪が普段よりもさらに色を薄く見せる。
 頭上の桜を見ているのだろう。
 表情はよく見えないが、風に舞う花びらがその姿を時々隠す。

「花!!」

 びくりと少女の肩が跳ねた。

「師匠?」

 返ってきた、戸惑ったような声にわずかな罪悪感を覚える。

「あ、いや…」

 叫んだのは、孔明自身も無意識だった。
 用があったわけでもない。
 黙ってしまった孔明を不思議に思ったのだろう。
 花が首を傾げて、孔明の側に寄ってくる。

「師匠は、お仕事ですか?」
「ああ…うん」

 光に薄く透けた目が、孔明を見る。
 まっすぐな、いつもの目だ。

「花は桜を見てたの?」
「はい」

 満面の笑顔で答える花に、孔明はなぜか心が冷えるのを感じた。

「そう…桜が好き?」
「好きです。私がいた国の人たちは、春にこの花が咲くのを楽しみにしているんですよ」
「へぇ…」

 気のない返事に、花を孔明の顔を覗き込んだ。

「師匠は桜が嫌いですか?」
「嫌いではないけど…、苦手かな」
「そうなんですか?綺麗なのに」

 確かに綺麗だとは思う。
 しかし、もともと孔明には花を愛でる習慣はないし、桜はその性質に距離を置いてしまう。

「桜は…はかないイメージだからね」

 桜の開花期間は短い。
 はかなく散ってしまう様は、もの悲しい気持ちにさせる。

「君にはよく似合ってるけど」

 少女には、色のはっきりした花よりも淡い桜のような色の花が似合っていた。
 違和感なく桜の景色に溶け込んでいる。

 だからこそ、嫌なのだ。
 まるで、いつか花自身も消えてしまいそうで。

「似合ってますか?」
「うん」

 似合いすぎるくらいだ。
 現に、桜の下にいる花を見て、名前を叫んでしまった。
 消えてしまいそうで怖かった。

 孔明は、花の腰に手を回すとぐいと引き寄せた。

「し、師匠!?」

 花の慌てた声が聞こえたが、一切無視だ。
 花のぬくもりを感じて、ようやく安心する。

「君のいた国では、この花をどうやって楽しむの?」

 花の肩に顔を埋めたまま、孔明は尋ねる。

「私の国では、この花の下で弁当を食べたりして楽しむんですよ」
「それは、楽しそうだね」

 家族と笑い合う花の姿が想像できて、孔明は声に出さずに笑った。

「師匠も今度一緒にここでご飯を食べましょう!」
「うん」

 桜は好きではなくても、花と一緒に外で弁当を食べるというのはいいように思えた。

「私、ゴマ団子とか、おやつも作りますね!!」
「楽しそうだなぁ」

 声を弾ませる花に、孔明は花の腰に回した腕を放した。
 花は照れたように笑う。

「はは。よくいわれます。お前は花より団子だって」
「花より…?」
「花より団子っていうことわざがあるんですよ。見て綺麗なものより、実際に役に立つものの方がいいってことです」

 ぷっと孔明は吹き出した。
 まったく、花といると飽きない。

「はかない桜のイメージより、そのことわざの方が君のイメージだね」
「え!?ちょ、それはひどいですよ。師匠!!」

 孔明が声を上げて笑うと、花は頬を膨らませた。

「知ってる?その花は実をつけるんだよ。赤くて甘い実」
「さくらんぼですか?」
「そう。知ってたんだね」
「同じ果物は私の国にもありましたから…でも、私がいた国でよく見る桜は実をつけないんです」
「へぇ」
「師匠!実がなったら一緒にさくらんぼ狩りをしましょう」

 目を輝かせて言う花に、孔明はまたも笑う。

「やっぱり花より団子だ」
「師匠!!」

 怒る花をなだめて、孔明は頭上を見上げる。
 薄紅色の花弁が散るのを寂しいと感じた桜だが、花とさくらんぼ狩りができると思えば、散るのさえ楽しみになってくる。

「約束ですよ、師匠」
「うん」

 栗色の頭をなでれば、花は心地よさそうに目を細める。

「さて、仕事に戻ろうか」
「はい」

 なんとなく手をつなぎたくなって、手を出してみると、花は嬉しそうに笑って手を重ねてきた。
 再び桜を見上げる。





 花と見る桜なら、悪くない。

 握った手に力を込めて、孔明は思った。

 

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