2009.05.02
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休みの日って、なんでこうも予定通りにいかないんだろ…。
予定ではSSも昨日か一昨日にはアップできていたはずなんですが。
えー、初の青エクSSです。
また新ジャンルに手を出してしまいました。
ぬらとか恋戦記とかやりたいことはいっぱいあるのに、新ジャンルです。
だって、可愛いんです、燐が。志摩くんが愛しいんです。
萌投下のうちに書くしかないだろ。
ただ、残念なことに志摩くんの京都弁は全くのでたらめです。
だって、わからないんだもの。
そして、出てくる悪魔は確実にアニメの影響です。ヒネリがなくてすみません。
それでも、いいよとおっしゃる心の広い方はお進みください。
志摩燐三部作の一部です。
↓
予定ではSSも昨日か一昨日にはアップできていたはずなんですが。
えー、初の青エクSSです。
また新ジャンルに手を出してしまいました。
ぬらとか恋戦記とかやりたいことはいっぱいあるのに、新ジャンルです。
だって、可愛いんです、燐が。志摩くんが愛しいんです。
萌投下のうちに書くしかないだろ。
ただ、残念なことに志摩くんの京都弁は全くのでたらめです。
だって、わからないんだもの。
そして、出てくる悪魔は確実にアニメの影響です。ヒネリがなくてすみません。
それでも、いいよとおっしゃる心の広い方はお進みください。
志摩燐三部作の一部です。
↓
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
人気のない教室。
窓から入り込む夕焼けが教室の壁に映り、室内は薄いオレンジ色に染まっていた。
机を挟んで向かい合う二人。その距離がいつも以上に近い。
青みがかった黒い瞳に、己の緊張した姿が映っている。
不思議そうに見上げてくる燐に、志摩は渇く口を動かした。
「奥村くんが好きや」
「俺も志摩が好きだぞ!」
にかっと歯を見せるその笑顔に、志摩は己の失敗を悟った。
【君の名前を呼びたい】
鬱蒼とした森。
木々が揺れる音の中に、時々獣のうめき声が聞こえていた。
肌をなぜる風は生暖かくて。
ただの森にはない何とも言えない不気味さがある。
「なんだ、ここ」
雪男に指示された祠の悪魔を祓い、燐は帰参しようとしていたところだった。
暗い夜道に懐中電灯が頼りなく光る。
「うぅ…はやく帰ろ」
踵を返したときだった。
茂みの中から黒い塊が飛び出してきたかと思えば、それは燐を取り囲んだ。
蛾の大群である。
慌てて懐中電灯のライトを消し、鞘に収めたままの倶利加羅で薙ぎ払った。
蛾の一匹一匹はたいしたことはないが、視界を奪う数は何ともし難い。
燐は森に入る前に渡された紙切れを燃やした。雪男に救援を求める合図である。
「うわっ」
紙切れを燃やした直後だった。
腰に何かが巻きつき、ふわりと身体が浮いた。
「ちょ、なんだこれ!」
宙に浮いた体勢から、悪魔の姿が見えた。
黒い影がもぞもぞと動く。
燐に巻きついているのも、その悪魔の触手らしい。
目を凝らしてみると、悪魔の周囲に蛾の大群が群がっている。
動いて見えたのは、あの蛾のせいだろう。
「あいつが親玉か」
虫が嫌いな志摩が見れば、恐怖映像だろう。
こんな状況だというのに、志摩の青ざめた顔が浮かんで燐は少し笑った。
「兄さん!」
銃声が響き、燐の身体が落下する。
とっさのことに受身が取れなかった燐は、地面に叩きつけられた。
「いたたた…おい、雪男!もっと優しく助けろ!」
突然現れた弟を非難すると、雪男は嫌そうな顔をした。
「なに言ってるの。鈍くさい兄さんが悪いんだろ」
雪男はちらりと燐を一瞥すると、悪魔に視線を戻した。
「それより、早く立って。来るよ」
雪男の言葉に、燐も抜き身の倶利加羅を構える。
次の瞬間、悪魔の無数の触手が二人を襲った。
「ちっ、兄さん!」
とても訓練生の手の負えるレベルではない。
攻撃力が高いとはいえ、燐の戦闘経験はせいぜい喧嘩のレベルだ。
雪男は燐を気にしながら攻撃を避けなければならなかった。
だから、油断ではない。注意が払えず、隙ができてしまったのだ。
「雪男!」
燐の声にとっさに反応するが、身体に受けた衝撃のほうが早かった。
雪男は左脇を打たれて、木に叩きつけられた。
意識を失うことはなかったが、背中を強く打ったらしい。
動こうとして脇と背中に走った痛みに、雪男は息を詰める。
「大丈夫か!」
燐が雪男に駆け寄ろうとするが、触手に阻まれる。
苛立った燐は、触手をくぐって強引に前に出た。
「駄目だ、兄さん!」
それが罠だと気付かずに。
「兄さん、上!!」
雪男の声に、燐は頭上を見上げる。
集まった触手が黒い球体になり、燐に振り下ろされるところだった。
「っ!」
避けられない。
衝撃を覚悟して、燐は目を閉じた。
しかし、予想した衝撃は頭上ではなく、右脇からだった。
ドンと何かに押されて倒れこむ。
「志摩くん!!」
雪男の声に、元いた場所を見ると、志摩が錫杖を手にして立っていた。
「志摩!」
駆けつけたときに落ちたのか、転がった懐中電灯が志摩の足元を照らす。
ピンクの頭からは血が流れていた。燐を助けたときのものだろう。
さらに、志摩の腰と錫杖には触手が絡み付いていた。
「なんや、けったいなのと戦ってますなぁ、お二人さん」
じわじわと志摩の身体が悪魔の方に引き寄せられていた。
志摩は燐を見てにこりと笑う。
「怪我はないやろか、奥村くん」
「おま、俺のことより、自分のっ」
言葉の途中で、燐がはっとした顔をした。
志摩を引き寄せる悪魔が、ぱくりと身体…いや、口だと思われる…をあけた。
虫が嫌いな志摩は当然悲鳴を上げた。
「ひぃいい!何やあれ!!」
球体の中央に走った亀裂。その上下にびっしりと牙が生えていた。
志摩を食べようとしているらしい。
志摩は触手に絡まったまま、身体を仰け反らせた。
逃げ出そうにも、志摩の錫杖では切れない。
「志摩くん!!!」
銃声が悪魔の身体を打ち抜いた。
触手の力が弱まる。
志摩は雪男の作った好機を逃さず、触手から抜け出すと、悪魔の頭上に飛び上がった。
「仕舞いや」
振り下ろした錫杖に重い手ごたえを感じる。
悪魔は、断末魔の悲鳴を上げて消えた。
同時に、蛾の大群も消滅する。
「志摩」
着地に成功した志摩を、燐が不安そうに呼ぶ。
雪男は報告と他の生徒の無事を確認するため、一足先に森の入り口に戻った。
「なんて顔してはりますの、奥村くん」
「だって、お前…」
燐は眉を寄せ、睨むように志摩を見ている。
怒っているにしては悲しそうな、何とも判断し難い顔だ。
「怪我はないやろか、奥村くん」
戦闘中にも尋ねたことを再度訊く。
カッと開いた目に、「あ。怒ってるんや」と志摩は内心で呟いた。
「俺のことより、お前だろ!」
志摩は顔を伝う血を袖で乱暴に拭った。
布が擦れて傷に響いた痛みに顔を顰める。
「何してるんだ!」
燐は慌てて駆け寄り、怪我を見ようとした。
「大丈夫やって。避けそこなっただけや」
怒っていると思っていた燐が、志摩の血を見てとたんにしおらしくなってしまう。
「ごめん、な…志摩」
「気にせんでええよ。俺が勝手にしたことや」
にこりと笑う志摩に、燐は少しだけ顔が熱くなった。
雪男ほどでないにしても、女子が騒ぐのがわかる気がする。
「奥村くんが怪我するよりずっとええ」
「ばっ!俺だってそんな怪我平気だ!!」
むしろ、治癒能力の高い燐のほうこそ平気だ。
志摩は燐のその能力を知っていたから、困ったように言った。
「うーん…でも、好きな子には怪我させたくないやろ」
「す、すすす好きな子って!そういうのは女の子に言うもんだろ!」
せやから特別に好きな子にゆうてるんやけど、と志摩は心の中で苦笑する。
一度告白をしたが、どうにも伝わらない。
じわじわ攻めて行くと決めたのはいいが、あまりの鈍さに心が折れそうだ。
「それより、手当てに行くぞ!」
「ええよ」
「いいわけあるか!」
燐が志摩の手を引くが、志摩は動かない。
「そないに気になるんやったら、一個、俺の言うこと聞いてくれへん?」
「何だよ」
「燐って、名前で呼んでもええやろか?」
燐は訝しげな表情をした。
「別に好きに呼んだらいいだろ?」
「おおきに」
嬉しそうな顔をされて、燐は照れた顔を隠すためにそっぽを向いた。
「へ、変なやつだな!名前で呼びたかったのか?」
「うん。俺、奥村くんともっと仲良うなりたいんや」
志摩は考える。
一度目の告白が失敗したのは、同性から告白をされるなんて思ってもみず、燐が友情と勘違いしてしまったということもあるのだろう。
志摩自身、燐以外の男に告白されるなんて考えたことがない。
しかし、それ以上に燐自身が恋愛に関して驚くほどに幼い。
しえみには淡い恋心を持っているかもしれないが、それが恋として発展するには時間がかかりそうだ。
燐のしえみに対する不器用なやりとりを思い出して、志摩は小さく笑う。もちろん、燐の小さな恋心を応援してやるつもりなんてさらさらない。
「燐」
「な、なんだよ」
にっこりと志摩は笑う。
「帰らへん?」
自分を意識させて、必ずもう一度告白をする。
隣で志摩の怪我を気遣う燐に、志摩はどうやって攻めようかとこれからのことを考えていた。
人気のない教室。
窓から入り込む夕焼けが教室の壁に映り、室内は薄いオレンジ色に染まっていた。
机を挟んで向かい合う二人。その距離がいつも以上に近い。
青みがかった黒い瞳に、己の緊張した姿が映っている。
不思議そうに見上げてくる燐に、志摩は渇く口を動かした。
「奥村くんが好きや」
「俺も志摩が好きだぞ!」
にかっと歯を見せるその笑顔に、志摩は己の失敗を悟った。
【君の名前を呼びたい】
鬱蒼とした森。
木々が揺れる音の中に、時々獣のうめき声が聞こえていた。
肌をなぜる風は生暖かくて。
ただの森にはない何とも言えない不気味さがある。
「なんだ、ここ」
雪男に指示された祠の悪魔を祓い、燐は帰参しようとしていたところだった。
暗い夜道に懐中電灯が頼りなく光る。
「うぅ…はやく帰ろ」
踵を返したときだった。
茂みの中から黒い塊が飛び出してきたかと思えば、それは燐を取り囲んだ。
蛾の大群である。
慌てて懐中電灯のライトを消し、鞘に収めたままの倶利加羅で薙ぎ払った。
蛾の一匹一匹はたいしたことはないが、視界を奪う数は何ともし難い。
燐は森に入る前に渡された紙切れを燃やした。雪男に救援を求める合図である。
「うわっ」
紙切れを燃やした直後だった。
腰に何かが巻きつき、ふわりと身体が浮いた。
「ちょ、なんだこれ!」
宙に浮いた体勢から、悪魔の姿が見えた。
黒い影がもぞもぞと動く。
燐に巻きついているのも、その悪魔の触手らしい。
目を凝らしてみると、悪魔の周囲に蛾の大群が群がっている。
動いて見えたのは、あの蛾のせいだろう。
「あいつが親玉か」
虫が嫌いな志摩が見れば、恐怖映像だろう。
こんな状況だというのに、志摩の青ざめた顔が浮かんで燐は少し笑った。
「兄さん!」
銃声が響き、燐の身体が落下する。
とっさのことに受身が取れなかった燐は、地面に叩きつけられた。
「いたたた…おい、雪男!もっと優しく助けろ!」
突然現れた弟を非難すると、雪男は嫌そうな顔をした。
「なに言ってるの。鈍くさい兄さんが悪いんだろ」
雪男はちらりと燐を一瞥すると、悪魔に視線を戻した。
「それより、早く立って。来るよ」
雪男の言葉に、燐も抜き身の倶利加羅を構える。
次の瞬間、悪魔の無数の触手が二人を襲った。
「ちっ、兄さん!」
とても訓練生の手の負えるレベルではない。
攻撃力が高いとはいえ、燐の戦闘経験はせいぜい喧嘩のレベルだ。
雪男は燐を気にしながら攻撃を避けなければならなかった。
だから、油断ではない。注意が払えず、隙ができてしまったのだ。
「雪男!」
燐の声にとっさに反応するが、身体に受けた衝撃のほうが早かった。
雪男は左脇を打たれて、木に叩きつけられた。
意識を失うことはなかったが、背中を強く打ったらしい。
動こうとして脇と背中に走った痛みに、雪男は息を詰める。
「大丈夫か!」
燐が雪男に駆け寄ろうとするが、触手に阻まれる。
苛立った燐は、触手をくぐって強引に前に出た。
「駄目だ、兄さん!」
それが罠だと気付かずに。
「兄さん、上!!」
雪男の声に、燐は頭上を見上げる。
集まった触手が黒い球体になり、燐に振り下ろされるところだった。
「っ!」
避けられない。
衝撃を覚悟して、燐は目を閉じた。
しかし、予想した衝撃は頭上ではなく、右脇からだった。
ドンと何かに押されて倒れこむ。
「志摩くん!!」
雪男の声に、元いた場所を見ると、志摩が錫杖を手にして立っていた。
「志摩!」
駆けつけたときに落ちたのか、転がった懐中電灯が志摩の足元を照らす。
ピンクの頭からは血が流れていた。燐を助けたときのものだろう。
さらに、志摩の腰と錫杖には触手が絡み付いていた。
「なんや、けったいなのと戦ってますなぁ、お二人さん」
じわじわと志摩の身体が悪魔の方に引き寄せられていた。
志摩は燐を見てにこりと笑う。
「怪我はないやろか、奥村くん」
「おま、俺のことより、自分のっ」
言葉の途中で、燐がはっとした顔をした。
志摩を引き寄せる悪魔が、ぱくりと身体…いや、口だと思われる…をあけた。
虫が嫌いな志摩は当然悲鳴を上げた。
「ひぃいい!何やあれ!!」
球体の中央に走った亀裂。その上下にびっしりと牙が生えていた。
志摩を食べようとしているらしい。
志摩は触手に絡まったまま、身体を仰け反らせた。
逃げ出そうにも、志摩の錫杖では切れない。
「志摩くん!!!」
銃声が悪魔の身体を打ち抜いた。
触手の力が弱まる。
志摩は雪男の作った好機を逃さず、触手から抜け出すと、悪魔の頭上に飛び上がった。
「仕舞いや」
振り下ろした錫杖に重い手ごたえを感じる。
悪魔は、断末魔の悲鳴を上げて消えた。
同時に、蛾の大群も消滅する。
「志摩」
着地に成功した志摩を、燐が不安そうに呼ぶ。
雪男は報告と他の生徒の無事を確認するため、一足先に森の入り口に戻った。
「なんて顔してはりますの、奥村くん」
「だって、お前…」
燐は眉を寄せ、睨むように志摩を見ている。
怒っているにしては悲しそうな、何とも判断し難い顔だ。
「怪我はないやろか、奥村くん」
戦闘中にも尋ねたことを再度訊く。
カッと開いた目に、「あ。怒ってるんや」と志摩は内心で呟いた。
「俺のことより、お前だろ!」
志摩は顔を伝う血を袖で乱暴に拭った。
布が擦れて傷に響いた痛みに顔を顰める。
「何してるんだ!」
燐は慌てて駆け寄り、怪我を見ようとした。
「大丈夫やって。避けそこなっただけや」
怒っていると思っていた燐が、志摩の血を見てとたんにしおらしくなってしまう。
「ごめん、な…志摩」
「気にせんでええよ。俺が勝手にしたことや」
にこりと笑う志摩に、燐は少しだけ顔が熱くなった。
雪男ほどでないにしても、女子が騒ぐのがわかる気がする。
「奥村くんが怪我するよりずっとええ」
「ばっ!俺だってそんな怪我平気だ!!」
むしろ、治癒能力の高い燐のほうこそ平気だ。
志摩は燐のその能力を知っていたから、困ったように言った。
「うーん…でも、好きな子には怪我させたくないやろ」
「す、すすす好きな子って!そういうのは女の子に言うもんだろ!」
せやから特別に好きな子にゆうてるんやけど、と志摩は心の中で苦笑する。
一度告白をしたが、どうにも伝わらない。
じわじわ攻めて行くと決めたのはいいが、あまりの鈍さに心が折れそうだ。
「それより、手当てに行くぞ!」
「ええよ」
「いいわけあるか!」
燐が志摩の手を引くが、志摩は動かない。
「そないに気になるんやったら、一個、俺の言うこと聞いてくれへん?」
「何だよ」
「燐って、名前で呼んでもええやろか?」
燐は訝しげな表情をした。
「別に好きに呼んだらいいだろ?」
「おおきに」
嬉しそうな顔をされて、燐は照れた顔を隠すためにそっぽを向いた。
「へ、変なやつだな!名前で呼びたかったのか?」
「うん。俺、奥村くんともっと仲良うなりたいんや」
志摩は考える。
一度目の告白が失敗したのは、同性から告白をされるなんて思ってもみず、燐が友情と勘違いしてしまったということもあるのだろう。
志摩自身、燐以外の男に告白されるなんて考えたことがない。
しかし、それ以上に燐自身が恋愛に関して驚くほどに幼い。
しえみには淡い恋心を持っているかもしれないが、それが恋として発展するには時間がかかりそうだ。
燐のしえみに対する不器用なやりとりを思い出して、志摩は小さく笑う。もちろん、燐の小さな恋心を応援してやるつもりなんてさらさらない。
「燐」
「な、なんだよ」
にっこりと志摩は笑う。
「帰らへん?」
自分を意識させて、必ずもう一度告白をする。
隣で志摩の怪我を気遣う燐に、志摩はどうやって攻めようかとこれからのことを考えていた。
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