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CP要素は少ないですが、牛リク←鴆をあっぷ。
牛リクといっても、矢印ですが…。
物事に慎重な牛鬼なので、恋愛方面にも鈍感でゆっくりなのかなぁ。
リクオも鈍感ですし、恋敵がいないとなかなか進展しないんじゃないかと思います、この二人。
てなわけで、鴆が登場していますv鴆は損な役回りですね。
拍手をぽちっとしてくださった方、ありがとうございます♪
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【認められたくて】
リクオは、顔の高さに積み重ねた資料を持って歩いていた。
前が見えにくく、時々足元がふらつく。
通りかかった鴆は、その危なっかしい様子に思わず手を伸ばした。
「なーにやってんだ、てめぇは!ほら、貸してみろ」
「鴆くん?」
鴆はリクオの資料の半分を受け取った。
視界が開けて、リクオは驚いた顔をする。
「今日も勉強すんのか」
「うん。早く追いつかないと」
最近、リクオはカラス天狗に奴良組の組織図や妖怪のあり方などを教授してもらっている。
急に見せ始めたやる気に、お目付け役のカラス天狗は涙を流して喜んだが、そのカラス天狗が心配するほど、最近のリクオは根をつめている。
「…ちゃんと寝てるのか?」
「寝てるよ」
「嘘付け。隈できてんぞ」
「はは。遅くまでやってるのは確かだけどね。間でちゃんと寝てるよ」
鴆は頭をかいた。
「そんなんだから身長伸びねーんだぞ」
うっ、とリクオは言葉に詰まる。
リクオの身長は、中学の男子生徒の平均身長に足りない。同学年の女子生徒にすら劣る。
「飯も食ってねーだろ」
「…夜以外は食べてるよ」
鴆に隠し事は無駄だ。
なぜか、彼はリクオの生活のことを詳しく把握している。
リクオは気まずそうにそっぽを向きながら、それでも正直に話した。
「バカかてめぇは!三食食うのは当たり前のことだろ!」
「…だって、ご飯食べると眠くなるんだよ」
はぁあああ。
鴆は大きく溜息を吐く。
片手でリクオの頭をくしゃくしゃに撫でた。
「止めても無駄だろうから止めねーが…あんま頑張りすぎんなよ。体壊したらもともこもないんだからな」
「うん、大丈夫だよ」
にこりと笑うリクオに、鴆は痛ましそうな顔をした。
飄々として真実を悟らせないのがぬらりひょんであるが、今のリクオは疲れを隠しきれていない。
「おめぇがそんなに気張らなくても、みんなわかってるさ」
リクオの顔が蔭る。
鴆の頭に物静かで、厳格な顔をした男が浮かぶ。
「…うん、わかってるよ」
(もっとも…リクオが認めて欲しい相手は違うんだろうけどな)
鴆は嘆息した。
自分ではリクオを笑顔にできない。
憎からず思う相手が別の男を見てるとは、なんともやりきれない。
牛鬼は襖を開けた。
暗い部屋に、薄灰色の羽織が浮かび上がる。
リクオは、机に突っ伏して眠っていた。
「おい、起きろ」
軽く声をかけるが、深く眠っているリクオには届かず。
そこに、鴆が入ってきた。
「牛鬼?」
「鴆か。若が眠ってしまってな」
鴆はリクオの側により、身体を揺すった。
「リクオ、寝るなら布団に入れ」
「…う、ん…」
リクオは少し身じろぎしたが、覚醒には至らなかった。
「布団に運ぶか」
リクオの身体に手を伸ばす牛鬼を、鴆が止めた。
「いや、オレが行く」
鴆はリクオの足と肩に手を入れて抱き上げた。
「体調の管理もできぬとは…」
非難めいた牛鬼の言葉に、鴆は眉を寄せた。
「こいつが何のために頑張っているのか、知らねぇのか」
「頑張っている?」
訝しげな牛鬼を無視して、鴆はリクオに視線を落とした。
腕にかかる重みが、前とは違う。
ちっ、と鴆は舌打ちした。
「ほんと、食ってねぇな、こいつ」
昼あったとき、無理やりにでも口に飯突っ込んでおけばよかったと鴆は乱暴なことを言う。
「食べてない、のか?」
「食うと眠くなるんだと」
そこまでして根をつめる理由は、鴆しか知らない。
いかめしい顔つきをした隣の男がそれを知らないのはなんとも腹立たしいと鴆は思った。
リクオは、ふと目を開けた。
空が白んでいるのをみて、焦る。
徹夜して、傘下の妖怪を覚える予定だったのに。
「ま、また眠ってしまった…」
慌てて布団から出ようとしたリクオに、隣から涼しげな声がかかる。
「人間が夜寝るのは当然だろう」
人がいるとは思っていなかったリクオは驚く。
「ぎ、牛鬼?」
それも、予想外の人物だ。
「ボクを運んでくれたの?」
たしか、自分は机に向かっていたはずだ。
部屋を移動した記憶も、着替えた記憶もない。
ならば、誰かが運んで着替えさせてくれたのだろう。
「運んだのは鴆だ。私は…今来た」
「そっか」
気落ちしてしまうのはなぜだろう。
牛鬼に、情けないところを見られてしまった。
「ここしばらく食べていないそうだな」
「え…ああ、う、ん…」
「食事をしなければ、頭は働かぬぞ。それで、眠くなったら寝ろ。食事を抜いて徹夜など言語同断」
誰にきいたんだろ。
リクオは思ったが、すぐに鴆の顔が浮かんだ。
「うん、次からは気をつけるよ」
ずいと、包みを差し出される。
広げれば、それは丸いおにぎりだった。
「これ…」
母が作ったにしては、ひどく不恰好だ。
こんな朝早くから活動する女妖怪がいただろうか。
「若菜殿を起こすわけには行かないからな。私が作った、不恰好だが、まぁ、食べられるだろう」
牛鬼は言い終わった後で、軽く咳払いをした。
照れているらしい。
「ありがとう」
リクオは一口齧る。
とても、おいしかった。
リクオが食べる様子をじっと見ていた牛鬼は、ほっとしたように、そしてリクオに気付かれない程度に頬を緩めた。
「起きたか、リクオ!」
慌ただしい足音がして、鴆が現れる。
鴆はぎゅうっとリクオを抱きしめた。
「ったく、オメーはよぉ!」
がみがみと説教する鴆に、リクオは困ったように謝る。
牛鬼は二人に背を向けた。
「あ、牛鬼!」
リクオが呼び止める。
「おにぎり、ありがとう」
にっこり笑ったリクオに、牛鬼もつられて笑った。
癒されてくれましたか!
牛鬼は無意識に昼リクオを気にしてればいいなと思いますv
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最近ぬら孫にハマり、リクオ受(特に昼若を愛でています)なSSを書き散らしています。
たまに、サイトでUPしたREBORNとかBLEACHの後日談的な話が出現しますv