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アニメの鴆さんに、涎がとまりません。
アニメの作画、綺麗ですよね。
声もいい!(←某侍アニメでハマってしまいました)咳き込む声とか!!
今日は、SSをあっぷですv
鴆と昼若と夜若の三つ巴をやりたくて始めた話なのに、かなり重たい話になってしまいました。
鴆→←昼若←夜若で、みんなが矢印です。
しかも、続きます。
嫌悪を示される方は、覗かないほうがいいですよ。
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――鴆くんはなんでも知っててすごいね。
――まぁな。大きくなったら、俺がおまえの力になってやるからな。
――うん。鴆くん大好き!
――ああ。俺もリクオが好きだぜ。
【巴紋 1―鴆―】
あの頃は、こんな風にリクオを想う日が来るなんて考えていなかった。
可愛い可愛い、愛し子。
鴆は布団に眠るリクオの栗色の髪を撫でる。
ゆっくりと眠りを妨げないように、優しく。
目を閉じたまま、リクオはふにゃりと笑った。
心地いいのだろう。
そんな何気ない時間がたまらなく幸せで。大切で。
リクオが鴆の家に来たのが数時間前。
じいちゃんにお使いを頼まれたと膨れた表情をして、酒を持ってきた。
疲れた顔をして笑うリクオを無理やり寝かしつけたのが一時間前。
一度寝てしまえば、休息を欲している身体は少しの刺激では目覚めることはなく。
たぶん、ぬらりひょんも本家にいれば無理をしすぎる孫を休ませるために、使いを頼んだのだろう。
「…総大将もどこまでわかっているのやら」
狼に羊をやるようなものだというのに。
鴆の気持ちに気付いていないのか。
もしくは知っていて信用されているのか。
どちらにしても、手を出せるはずもなかったが。
愛し子であると同時に、リクオは畏れを抱く主でもある。
「…だけど、これくらいは許してくれるか」
少なくとも今は、鴆が愛して止まない人間の方のリクオの姿だ。
鴆は身体を屈めた。
リクオの唇に己のそれを重ねようとしたとき。
「何してやがる、鴆」
低く呻くような声が下から響いた。
同時に発せられた殺気に、鴆は背後に跳びのいた。
「っ、リクオ!」
リクオが布団の上に身体を起こしている。
鴆を睨む眼は、人間ではありえない赤い眼で。
「もう一度聞く。今、何をしようとしていた?」
襟元が乱れた姿のまま眼光鋭く、鴆を睨みつける。
白の長着から除く首筋に、鴆は生唾を飲み込んだ。
殺気がさらに肌を刺す。
「す、すまねぇ」
謝って許されるとは思っていないが、とるべき行動を他に思いつかない。
鴆が愛おしく思うのは、昼の姿のリクオであるが、目の前の男にとっては迷惑な話だろう。
人格が違うとはいえ、身体を共有している彼では。
「…今日は出てこないかと思った…」
これでは昼のリクオがゆっくり休めないではないか。
精神は眠っているとはいえ、身体は酷使されているのである。
特に、夜のリクオは身体への負担など考えはしないだろう。
夜のリクオは、口元に薄く笑みを浮かべた。
昼の彼では見せない、酷薄さがある。
「眠っている間に俺を手篭めにしようって腹かい?」
「そんなんじゃねぇよ」
鴆は低く唸った。
そんなつもりは毛頭ない。
鴆はリクオが好きだが、たとえそれが実らないとしても一生彼に仕える覚悟がある。
鴆。と、リクオが呼んだ。
昼の声とは違う、低く命令しなれた声。
「リクオには…昼の俺には手を出すんじゃねぇ」
鴆は目を見開いた。
知っているのだろうか。
夜ではなく、昼の彼に鴆が思慕を寄せていることを。
「こいつは俺のものなんだよ」
夜のリクオは胸に手をあてて、鴆を見据えた。
リクオの手が置かれた中で昼のリクオが眠っているのだろう。
そう考えると、鴆はひどい嫉妬を覚えた。
同一人物なのだと頭ではわかっていても、心が納得しない。
文字通り、彼の中で二人は一つなのだ。
夜のリクオは面白そうに笑った。
「鴆、お前今自分がどんな顔をしてるかわかっているか?」
からかうような響きの声に、鴆は思わず夜のリクオを睨む。
「俺を殺しそうな目をしてるぜ」
はっとして、鴆は目を伏せた。
人格が違うとはいえ、リクオに対してなんて感情を持ってしまったんだ。
戸惑う鴆にリクオはさらに続ける。
「まぁ、その気持ちはわからないでもないが…」
小さく呟かれた声に、鴆は顔を上げたが、リクオの目はすでに鴆を見てはいなかった。